ルアーや仕掛けを扱っていると、思わぬ瞬間に釣り針が指や手などに刺さってしまうことがあります。
釣り針が刺さった直後にスッと抜ければ問題ありませんが、「刺さったけど、抜こうと思っても抜けない!」というケースでは、どうすればいいのか迷いますよね。
無理に引っ張っても抜けない場合は、釣り針の「返し」が皮膚に引っかかっている可能性があります。
この記事では、浅く刺さった釣り針の抜き方から、無理に自分で抜かないほうがいいケース、病院へ行く目安、何科を受診するのか、釣り場で病院を探す方法、気になる料金まで詳しく解説します。
また、私自身も釣り歴40年の中で、ルアーのトレブルフックが人差し指に刺さって抜けなくなった経験があります。そのときの体験も紹介します。
※服やタオルなどに釣り針が刺さった場合の取り方はこちらの記事で解説しています。
-
-
釣り針が服に刺さった時の取り方~強引に引っ張るのはダメ!
釣りを楽しんでいる最中に、釣り針が服に刺さってしまったことはありませんか? 適当に引っ張って抜こうとすると、服に大きな穴が開いてしまいます。 ファミリーフィッシングだと子供が服に刺してしまうことも多い ...
続きを見る
釣り針が刺さったら、まず刺さり方を確認しよう
釣り針が刺さってしまったら、まずは慌てて引っ張らず、どの程度刺さっているのかを確認しましょう。
釣り針は刺さり方によって対処方法が変わります。
- 針先が皮膚の外に出ているか
- 釣り針のカーブ部分まで刺さっているか
- 返し(カエシ)が皮膚の中に入っているか
- 強い痛みやしびれがないか
- 指や手を普通に動かせるか
- 出血が続いていないか
医療現場では、釣り針のカーブ部分まで刺さっていない状態を「浅く刺さった釣り針」として扱い、それより深く刺さった場合とは抜去方法を区別しています。
つまり、まず確認したいのは「浅いのか、深いのか」ということです。
浅く刺さっている場合
針が比較的浅く、カーブ部分まで皮膚に入り込んでいない場合は、抜去を検討できるケースがあります。
ただし、目やその周辺、重要な血管・神経・腱が関係する場所などは、自分で抜こうとせず医療機関に相談したほうが安全です。
深く刺さっている場合
針のカーブ部分や、それより先まで深く入り込んでいる場合は、単純に引っ張っても返しが組織に引っかかって抜けないことがあります。
また、深く刺さった釣り針の周囲には、神経・血管・腱など重要な組織がある場合もあります。
このような場合は、無理に自分で処置せず、医療機関で抜いてもらうことを検討してください。
浅く刺さった釣り針の抜き方
「刺さったけど、普通に引っ張っても抜けない」という場合、浅く刺さった釣り針であれば、医療現場で使われている抜去方法があります。
その一つが「string法」と呼ばれる方法です。
ただし、これはあくまで浅く刺さった釣り針を対象とした方法です。深く刺さった釣り針や、目・顔などに刺さった釣り針には使わないでください。
string法とは?
string法は、釣り糸などの丈夫な糸を釣り針のカーブ部分にかけ、返しが組織に引っかからないようにしたうえで釣り針を抜く方法です。
医療現場では、釣り針を安定させながら返しを外し、糸を使って抜去します。
この方法では釣り針が勢いよく飛び出すことがあるため、周囲の人や自分の顔などに針が当たらないよう十分な注意が必要です。
抜こうとしても動かない場合は中止する
浅く見えても、実際には返しが深く引っかかっていたり、釣り針が重要な組織の近くに入っていたりすることがあります。
そのため、
- 釣り針が動かない
- 強い痛みがある
- 抜こうとすると痛みが増す
- しびれがある
- 指や手が動かしにくい
- 出血が続く
このような場合は、無理に続けず、医療機関を受診してください。
深く刺さった釣り針を自分で押し込んで切る方法について
釣り針の抜去方法として、針をさらに進めて先端を皮膚の反対側に出し、針の一部を切断してから抜く方法があります。
これは医療現場で深く刺さった釣り針を処置する方法の一つですが、神経や血管、腱などの重要な組織との位置関係を確認したうえで行われる処置です。
そのため、自分で釣り針をさらに皮膚へ押し込んだり、ペンチなどで切断したりすることはおすすめしません。
特に深く刺さっている場合は、次の「病院へ行く目安」を確認してください。
こんな場合は自分で抜かずに病院へ
釣り針が刺さったからといって、すべてのケースで救急車を呼ぶ必要があるわけではありません。
しかし、次のような場合は自分で抜こうとせず、医療機関への受診を検討してください。
- 釣り針のカーブ部分まで深く刺さっている
- 針先や返しが見えない
- 引っ張っても抜けない
- 強い痛みがある
- しびれがある
- 指や手を動かしにくい
- 出血が続いている
- 目や目の近くに刺さった
- 顔や首などに刺さった
- 自分で抜こうとして状態が悪化した
特に、目に刺さった釣り針は自分で抜こうとせず、専門的な処置を受ける必要があります。
「抜けるかもしれない」と無理をするより、抜けない時点で病院へ相談するという判断も大切です。
釣り針が刺さったら何科を受診する?
釣り針が刺さったときに、何科へ行けばいいのか迷う人も多いと思います。
外傷の処置に対応する医療機関を探す
釣り針の刺さり方や刺さった場所によって対応は変わるため、「必ずこの診療科」と決めつけることはできません。
外科や形成外科など、外傷の処置に対応する医療機関を探すのが一つの方法です。
ただし、医療機関によって対応できる処置が異なるため、受診前に電話で確認しておくと安心です。
受診前に電話で確認する
電話では、
- 「釣り針が指に刺さって抜けません」
- 「針の返しまで入っています」
- 「針先は見えています」
- 「出血しています」
など、現在の状態を伝えましょう。
「釣り針の抜去処置に対応できますか?」と確認してから向かうと、受診先を探し直す手間を減らせます。
釣り場で釣り針が刺さったとき、病院はどう探す?
釣り場で釣り針が刺さると、困るのが「ここからどこの病院へ行けばいいの?」という問題です。
普段住んでいる地域なら病院を知っていても、遠征先や初めて訪れた釣り場ではそうはいきません。
医療情報ネット(ナビイ)で近くの医療機関を探す
釣り場から受診先を探す方法として、厚生労働省の「医療情報ネット(ナビイ)」があります。
医療情報ネットでは、全国の医療機関を検索でき、現在診療中の医療機関や休日夜間対応医療機関を探すことができます。
現在地や場所、診療科目などから検索できるので、土地勘のない釣り場で受診先を探すときにも利用できます。
検索するときは「現在診療中」や「休日夜間対応」などの条件も確認しましょう。
受診前に電話で釣り針の処置ができるか確認する
検索結果に表示された医療機関が、必ず釣り針の抜去処置に対応できるとは限りません。
そのため、向かう前に電話して、
「釣り針が指に刺さって抜けないのですが、今から処置してもらえますか?」
と確認しておくのがおすすめです。
夜間・休日で迷ったら「#7119」に相談する
夜間や休日で、どこへ行けばいいのか分からない場合は、利用できる地域であれば「#7119(救急安心センター)」に相談する方法もあります。
#7119では、急な病気やけがについて、救急車を呼ぶべきか、医療機関を受診したほうがよいかなどを相談できます。
地域によって利用時間や対象地域が異なるため、利用できる地域かどうかを確認してください。
緊急性が高い場合は119
次のような場合は、病院を検索している場合ではありません。
- 大量に出血している
- 目に重大な傷を負っている
- 意識がおかしい
- 呼吸などに異常がある
- その他、明らかに緊急性が高い
このような場合は119番へ連絡してください。
釣り針が刺さったときの病院の料金はいくら?
「釣り針が刺さったら病院でいくらかかるの?」というのも、気になるところですよね。
以前の記事では具体的な目安料金を掲載していましたが、現在は医療費などの状況も変わっているので、「3,000~5,000円」などの目安料金は掲載をやめます。
釣り針の抜去料金は一律ではない
釣り針を抜く場合の費用は、釣り針の刺さり方や処置内容によって変わります。
診察だけで済む場合もあれば、局所麻酔を使用したり、傷の処置をしたり、必要に応じて検査を行ったりすることもあります。
そのため、「釣り針を抜けば必ず○円」と一律に決めることはできません。
健康保険が使える場合でも料金は変わる
健康保険が適用される診療であっても、自己負担額は診療内容によって変わります。
また、受診する時間帯によっては時間外・休日・深夜などの加算が付く場合があります。
夜間や休日は費用が高くなる場合がある
「釣り場で刺さったから、今すぐ夜間の病院へ」というケースでは、通常の診療時間に受診する場合とは費用が変わる可能性があります。
そのため、緊急性がない場合には、対応可能な医療機関を確認したうえで、診療時間も確認しておくとよいでしょう。
料金が気になる場合は受診前に確認する
費用が気になる場合は、受診前に医療機関へ電話して、
「釣り針の抜去処置を受けたいのですが、健康保険を使った場合の費用について確認できますか?」
と聞いてみるのも一つの方法です。
ただし、実際の処置内容によって金額が変わるため、電話で確認した金額と会計時の金額が完全に一致するとは限りません。
釣り針が刺さったあとに腫れるのは大丈夫?
釣り針が刺さったあとに、痛みや腫れが出ることがあります。
ただし、「腫れた=必ず感染している」というわけではありません。
刺さった直後は痛みや腫れが出ることがある
釣り針が皮膚に刺さったのですから、傷の周囲に痛みや腫れが出ること自体はあります。
大切なのは、その後の状態です。
時間が経って腫れや赤みが強くなる場合は注意
時間が経つにつれて、
- 腫れが強くなる
- 赤みが広がる
- 痛みが強くなる
- 患部が熱を持つ
- 膿が出る
といった変化がある場合は、感染などの可能性も考えて医療機関へ相談してください。
抜いたあとも傷の状態を確認する
釣り針が抜けたから終わり、ではありません。
抜去後もしばらくは傷を清潔に保ち、痛みや赤み、腫れなどが強くなっていないか確認しましょう。
釣り針が刺さったあとの感染・破傷風に注意
釣り針が刺さった傷は感染に注意する
釣り針が刺さるのは、魚やエサ、海水、淡水、泥、地面など、さまざまなものに触れる釣り場であることが多いため、傷口の衛生管理は大切です。
釣り針を抜いたあとも、傷口を清潔に保ちましょう。
破傷風については予防接種歴も確認する
釣り針による刺し傷では、破傷風について医療機関で確認されることがあります。
特に、予防接種歴が分からない場合や、傷の状態について心配な場合は、受診した際に医師へ相談してください。
傷の状態が悪化したら受診する
釣り針を抜いたあとに、痛みや赤み、腫れが強くなってきた場合は、そのまま様子を見続けず、医療機関へ相談しましょう。
私が実際に釣り針を指に刺したときの体験
ここからは私自身の体験です。
私は釣りを40年ほど続けていますが、これまでに「これはヤバい」と思うくらい釣り針が刺さったことが一度あります。
ルアーで50cm台のシーバスを釣ったときのことです。
魚からルアーをプライヤーで外そうとしていたところ、魚がバタバタッと暴れ、いつの間にか人差し指にルアーのトレブルフックがめり込んでいました。
50cmクラスの魚とルアーと自分の指が連結されたような状態です。
まずは魚がさらに暴れないように押さえながら、魚とルアーを外しました。
私が使っていたルアーフックはカエシをつぶしていたので、簡単に抜けると思っていました。
ところが、実際にはカエシをつぶした部分にわずかなふくらみが残っていて、それが引っかかって抜けませんでした。

最近のルアーはしっかりしたフックが付いているので、私は交換せず、カエシをプライヤーでつぶして使うことがあります。
ところが、写真のようにカエシをつぶしても出っ張りが残ることがあります。
私の場合は、そのわずかな出っ張りが原因で、数分間グリグリしても抜けませんでした。
最終的には力をかけて抜いて事なきを得ましたが、今考えると、刺さった状態で冷静に判断するのはなかなか難しいものです。
釣り針が刺さるのは魚を外すときだけではない
釣り針が体に刺さる場面は、魚から針を外すときだけではありません。
- 根掛かりした仕掛けを竿であおって外した瞬間、針が自分に向かって飛んでくる
- 魚が水面付近で暴れてフックアウトし、ルアーが反動で飛んでくる
- 隣で釣っている人の仕掛けが誤って自分に引っかかる
- 仕掛けを扱っているときに、自分の指へ針が刺さる
どれも釣りをしていれば起こり得ることです。
釣り針が刺さると、痛みだけでなく精神的にもかなり焦ります。
だからこそ、いざというときの対処方法を知っておくことが大切です。
釣り針が刺さらないための予防策
釣り場で針が刺さると、釣りを中止しなければならなくなることもあります。
刺さったときの対処方法を知っておくことも大切ですが、できるだけ刺さらないようにすることも重要です。
素肌の露出を減らす
釣り針から身を守るためには、素肌の露出を減らすことも有効です。
- サングラスやメガネ
- 帽子
- 長袖
- 長ズボン
私は夏でも長袖を着ていることが多いです。日焼け対策という意味もありますが、釣り針から身を守る意味でも役立ちます。
魚から針を外すときはフックの位置を確認する
魚が暴れたときに針が自分の手に飛んでくることがあります。
フィッシュグリップやプライヤーなどを使い、できるだけ針に直接手を近づけないようにしましょう。
カエシをつぶしてバーブレスにする方法もある
釣り針のカエシをつぶしてバーブレスにすると、魚から針を外しやすくなるほか、万が一刺さった場合にも抜去しやすくなる可能性があります。
ただし、魚種や釣り方によってはバーブレスが適さない場合もあるので、状況に合わせて判断してください。
キャストするときは周囲を確認する
自分が釣り針を刺されるだけでなく、自分の仕掛けを周囲の人に引っ掛けてしまうこともあります。
キャストするときは、毎回周囲を確認する習慣をつけておきましょう。
釣り針が刺さったときの対処をまとめると
釣り針が刺さったときは、まず慌てずに刺さり方を確認しましょう。
- 釣り針が浅いのか深いのか確認する
- 浅く刺さった釣り針なら、状態に応じて抜去方法を検討する
- 抜けない場合は無理に引っ張らない
- 深く刺さっている場合は自分で押し込んだり切ったりしない
- 強い痛み、しびれ、動かしにくさ、出血などがあれば医療機関へ
- 受診先は医療情報ネット(ナビイ)などを利用して探す
- 夜間・休日で迷った場合は、利用できる地域なら#7119に相談する
- 緊急性が高い場合は119番へ連絡する
- 病院の料金は処置内容や受診時間などによって変わるため、一律の金額では考えない
- 釣り針を抜いたあとも、痛み・赤み・腫れなどの変化に注意する
釣りをしていれば、どれだけ注意していても釣り針が刺さってしまうことはあります。
大切なのは、刺さったときに慌てて無理なことをしないことです。
「抜けないなら病院へ行く」という選択肢を頭に入れておくだけでも、いざというときの安心感は違います。
特に釣り場が自宅から遠い場合は、厚生労働省の「医療情報ネット(ナビイ)」などを使って、近くで対応できる医療機関を探す方法を覚えておくと便利です。