PEラインには主に「4本編み」と「8本編み」の2種類があり、それぞれ特徴や使い勝手が異なります。
釣りのスタイルやターゲット魚種によって、どちらを選ぶかで釣果や快適さに大きな差が出ることも。
この記事では、PEラインの4本編みと8本編みの違いについて、強度・耐摩耗性・飛距離などの観点からわかりやすく解説します。
自分に合ったライン選びの参考にしてください。
PEライン4本編みと8本編みの基本知識
PEラインとは?その特性と用途
PEラインは、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を原料とし、極めて細い繊維を複数本束ねて作られた釣り糸です。
ナイロンやフロロカーボンラインと比較して、非常に軽量で引張強度が高く、ほとんど伸びないという特性があります。
このため、水中でのルアーや仕掛けの操作が直感的に伝わりやすく、高感度な釣りを可能にします。
また、浮力があるため表層攻略に向いており、飛距離も出やすいことから、ルアー釣りやショアジギング、船釣りなど幅広いシーンで活用されています。
4本編みと8本編みの違い
4本編みは4本の原糸を撚り合わせて作られ、ややざらついた感触と高い耐摩耗性が特徴です。
一方、8本編みは8本の細い繊維を密に編み込むことで、滑らかでしなやかな手触りと飛距離性能に優れています。
編み数が多いほど加工コストは上がりますが、同じ号数でも細くてスムーズなラインになります。
各種PEラインの種類と違いの概要
PEラインには4本編みや8本編みの他にも、12本編みや16本編みなどの高密度編みタイプも存在し、特にプロやハイレベルな釣りにおいて使用されます。
ただし、価格や入手性、扱いやすさを考慮すると、4本編みと8本編みが最も一般的です。
4本編みは初心者から上級者まで幅広く使われ、耐久性に優れています。
8本編みは感度と飛距離を重視するシーンに最適で、快適なキャストフィールを実現します。
4本編みの特長とメリット
4本編みの強度と耐久性
繊維が太めで、編み込みが粗いため耐摩耗性が非常に高く、特に根ズレや岩場での使用に強いという特長があります。
4本編みのPEラインは、物理的なダメージに強いため、障害物が多いポイントや磯場、テトラ帯などでの釣りにおいて高い信頼性を発揮します。
多少擦れた程度では簡単に切れることがなく、強度は実釣において十分以上。
特に大型魚とのやり取りや、ファイト中にラインが岩や構造物に接触するようなシチュエーションでは、安心感があります。
飛距離と操作性:4本編みの実力
表面がややざらついているためガイドとの摩擦が大きく、8本編みに比べるとキャスト時のライン放出は劣りますが、その分ラインのブレが少なく、風や潮流に左右されにくいという利点があります。
また、水中でのラインの挙動がはっきりと伝わるため、ルアー操作の感覚が掴みやすく、障害物の回避や狙ったポイントへのアプローチがしやすいです。
感覚的な操作を重視する釣りでは、あえて4本編みを選ぶアングラーも少なくありません。
4本編みのデメリットと注意点
ガイドとの接触時に「シャーッ」という摩擦音が大きく出るため、静かな環境では気になることも。
また、編み目が粗く表面が硬めな構造のため、キャスト時の飛距離では滑らかな8本編みに劣ります。
さらに、糸自体が太めなぶん水の抵抗も大きく、軽量ルアーの操作性や感度がやや低下することもあります。
特に繊細なアタリを取る必要がある釣りや、飛距離を重視する場面ではデメリットとして現れる場合があります。
8本編みの特長とメリット
8本編みの強度とパフォーマンス
繊維が細く、緻密に編まれているため同じ号数でも線径が細く、柔らかくしなやかな仕上がりになります。
この構造により、ライン自体の伸縮性が少なく感度が高いため、魚の小さなアタリや潮の流れの変化までしっかり伝わるのが魅力です。
また、キャスト時やリトリーブ時の糸鳴りも少なく、快適な操作性が得られます。
細さと柔軟性を活かした繊細な釣りにおいて、8本編みは非常に優秀なパフォーマンスを発揮します。
飛距離と摩擦:8本編みの特徴
表面が非常に滑らかで摩擦抵抗が少ないため、キャスト時にスムーズに放出され、飛距離に優れています。
特に遠投が必要なショアジギングやサーフの釣りでは大きなアドバンテージとなります。
空気抵抗も受けにくく、ライントラブルも少ないため、ストレスフリーで釣りに集中できます。
8本編みのデメリットを理解する
一方で、耐摩耗性においては4本編みに比べてやや劣り、岩場や障害物の多いポイントではラインブレイクのリスクが高くなります。
また、製造コストが高いため価格帯も上がりやすく、予算を抑えたい釣り人にはややハードルが高く感じられることもあるでしょう。
加えて、柔らかさゆえにライントラブルやガイド絡みのリスクもあるため、慣れていない人にはやや扱いにくく感じられる可能性もあります。
4本編みと8本編みの性能比較
強度比較:4本編みvs8本編み
強度自体はほぼ同等とされますが、使用感には大きな違いがあります。
4本編みは構造上、繊維1本あたりの太さがあるため、全体的にしっかりとした手応えがあり、「太くて丈夫」という印象を受けやすいです。
これは特に根ズレなどの物理的なダメージに強く、ラインブレイクのリスクが低く感じられるため、磯釣りやロックフィッシュ、障害物が多い釣り場で多用されます。
一方、8本編みはより細い繊維を密に編み込んでいるため、仕上がりが滑らかで繊細。
力のかかり方やラインの扱いに神経を使う分、操作性や感度の面で優れる傾向があります。
飛距離比較:どちらが優れているか?
飛距離の面では、8本編みが明らかに優位に立ちます。
これは、編み込みの密度が高く表面が非常になめらかであるため、キャスト時にロッドガイドとの摩擦が少なく、より遠くまでラインを飛ばすことが可能だからです。
また、風の影響を受けにくく空気抵抗も抑えられるため、正確な飛距離コントロールにも優れています。
遠投が求められるサーフゲームやショアジギングでは、8本編みのアドバンテージは非常に大きく、飛距離が釣果を左右する場面では特にその恩恵を感じられます。
最適な選び方:使用シーンによる比較
PEライン選びでは、釣り場や釣法に応じた適材適所の判断が重要です。
- 障害物が多い場所やストラクチャー周りの釣り=耐摩耗性が高い4本編みが有利
- 遠投性能や高感度が求められる釣り=滑らかな8本編みが最適
- コストパフォーマンス重視=価格が比較的安価な4本編み
- 繊細なアタリを逃したくない=感度に優れた8本編み
というように、それぞれの特性を理解することで、より自分の釣りスタイルに合ったライン選びができます。
釣り方別のおすすめライン選択
バス釣りに最適なPEライン
バス釣りでは、ストラクチャー周りでのカバー撃ちやヘビーカバーの攻略が多くなるため、耐摩耗性に優れた4本編みのPEラインが信頼される傾向があります。
特にラバージグやフロッグの釣りでは、ラインが草や枝に擦れる状況が多いため、タフさが求められます。
ただし、オープンウォーターでのフィネスアプローチやスピニングタックルを使った軽量リグには、しなやかで飛距離と感度に優れた8本編みがフィットします。
釣り方に応じてラインを使い分けることで、バスの反応も変わってくるでしょう。
船釣りで使えるPEライン
船釣りでは、タテの釣りが中心となり、水深や潮の流れの変化を敏感に感じ取る必要があります。
このため、感度が高く水中での抵抗が少ない8本編みが有利とされます。
特にタイラバやジギングなど、ルアー操作の正確性と底取りの明確さが求められる釣りでは、8本編みの高感度性能が威力を発揮します。
また、巻き上げ抵抗が少ないため体力的な負担も軽減され、長時間の釣行でも快適です。
ただし、岩礁帯や根の多いポイントでは、4本編みのタフさも捨てがたく、ラインブレイクを防ぎたい場合には有効な選択肢となります。
シチュエーション別:PEライン選びのポイント
- 根が多く、障害物が多いフィールドでの釣り:摩耗に強くトラブルに強い4本編みが安心です。
- 広範囲をテンポよく探る必要がある場面:遠投性とスムーズなキャスト性能が魅力の8本編みが有利です。
- コストを抑えつつ、ある程度の強度と汎用性を求める場合価格帯が比較的手頃な4本編みが経済的です。
- 繊細なアタリを逃さず取りたいときや高精度の操作性を求める釣り:感度としなやかさで優れる8本編みが効果的です。
あなたの釣り方に合ったPEラインを選ぼう
釣りのスタイルやフィールドの特性に応じて、「耐久性・飛距離・感度・価格」の4つの要素をどのように重視するかがライン選びのカギとなります。
編み方による違いのまとめ
4本編みは「タフで丈夫」で障害物に強く、価格も手頃なのが魅力です。
一方、8本編みは「滑らかで高性能」で遠投性や感度に優れ、繊細な釣りに最適です。
それぞれの特徴を理解し、シーンごとに使い分けることが釣果アップの秘訣となります。
自分のスタイルに合ったライン選びのアドバイス
これからPEラインを使い始める初心者には、コストパフォーマンスが高く扱いやすい4本編みがおすすめです。
経験を積んでライン操作に慣れてきたら、より高感度で飛距離に優れた8本編みにステップアップすることで、さらなる釣果向上が期待できます。