人気の釣りスポットだった神奈川県横浜市の福浦岸壁ですが、2019年9月の台風で壊滅的な被害を受けました。
現在、堤防かさ上げ工事が急ピッチで進められていますが、果たして釣りができる場所はあるのでしょうか?
2022年2月現在での工事の進行状況や、釣り可能エリアの調査をしてきました。
福浦岸壁は2019年9月の台風で堤防が破壊
横浜市金沢区にある福浦岸壁。
横浜エリアでは貴重な無料釣りスポットだったのですが、2019年9月に大型台風が東京湾を縦断した際、風雨の力で堤防が破壊されてしまいました。
台風通過後は、大変危険な場所に変わり果ててしまったため、すぐさま立入禁止となり、仮復旧工事が始まるとともに、今後の本格的な復旧方法(工法)が検討されることとなりました。
復旧工事の詳しい情報は、横浜市港湾局発表の資料でも確認できます。
復旧工事の箇所と工事内容
2019年12月には、具体的な工事方針・エリアと予算が決定し、2020年初めから工事が始まっています。
復旧工事が入るエリアは上の写真のエリアAとエリアB。
- エリアAは、テトラが設置されていないエリア
- エリアBは、テトラが既に設置されているエリア
テトラの有無で、異なる構造の防潮堤が設置されることとなりました。
復旧の方針は【今後発生し得る最大の高潮・高波を防護できる設計】とのこと。
そのため、防潮堤の高さは地上3m、海面までの高さは6.4mという、防災上はかなり安心(=釣りには不向き)な堤防へと生まれ変わるのです。
まずは秋の台風シーズン前までに消波ブロックの設置や護岸のかさ上げを完了させ、その他の部分も含め、2021年1月頃までに全て完了する予定とのことです。
エリアAの復旧後の構造イメージ
テトラがないエリアAでは、従来の堤防を2mかさ上げし、さらに前面に「直立消波ブロック」が設置されます。
「直立消波ブロック」というテラス状のせり出し部分が増設されるんですね。
完成したら遊歩道的な感じで利用できるのでしょうか?
エリアBの復旧後の構造イメージ
テトラがすでに入っているエリアBでは、従来の堤防を2mかさ上げし、さらにテトラの数を追加します。
今までであれば堤防からテトラに降りることができましたが、今後は堤防が高くなるため、テトラに降りられなくなりますね。
ということは、エリアBは「釣り不可エリア」確定です。
工事が終わればエリアAで釣りができるの?
かつての釣りスポットだったエリアAでは、もともと岸壁の高さが1mくらいあり、海面までは5mくらいありました。
玉網だって6mクラスが必要でしたよね。
今回の工事によってさらに高くなり、岸壁の高さは(陸地側から)3m、海面までは6.4mになるということ。
工事完了後、仮に釣り場として開放されたとしても、こんなに足場が高いと、現実問題として釣りなんてできるのでしょうか?
タウンニュースによると、工事完了後は横浜市が運営する海釣り施設として検討しているとのこと。
まだ「検討段階」ではありますが、釣りはできそうな予感でひとまず安心材料ですかね。
参考:タウンニュース「金沢区護岸工事全長約3Kmでかさ上げ」
【2020年6月現在】福浦岸壁の工事の状況は?
復旧工事が始まって半年経ち、状況はどうなっているのか?調査に行ってきました。
まず、エリアAは道路側から見る限り、全長の80%くらいのかさ上げ堤防が完成していました。
写り込んでいる車とかピンク色ののぼりの高さと比較すると、やはり高さ3mの堤防はすごい!威圧感さえ感じます。
道路側からは見えない「直立消波ブロック」の設置工事が今後は進んでいくんでしょうね。
お次は幸浦のエリアBです。
海岸線のほとんどが私有地なので海に近づける場所が少ないのですが、リネツ金沢の脇から工事の状況を確認できました。
この辺りでは、増設のテトラが入り始めていました。
真っ白なテトラが今回新しく入れたテトラです。
堤防のかさ上げ工事はまだ枠組みだけ組んである段階で、完成した部分は見当たりませんでした。
それでも2020年の8月には完成予定とのこと。
【2021年1月現在】福浦岸壁の工事の状況は?
工事が始まって約1年、2021年1月に再調査に行ってきました。
エリアA,Bとも、海に面している岸壁の工事は完了しているようでした。
しかし、道路沿いに設置する陸の防潮堤(図で言う第3防護ライン)はまだ工事が始まっていなかったので、工事と立ち入り禁止状態は当分続きそうです。
【2022年2月現在】福浦岸壁の工事の状況は?
工事が始まって約2年、2022年2月に再調査に行ってきました。
いちばん背の高い防波堤は完成しているようでした。
1年前にはまだなかった、陸上に設置される1mくらいの低い防潮堤もほぼ完成という感じで、陸から見る限りですが、護岸工事はもうすぐ完了ではないでしょうか。
【2022年2月現在】福浦岸壁で釣りができる場所
現地調査をした結果、福浦・幸浦の東面全域で工事が着工しており、釣りはおろか、立ち入りもできない状態です。
でも、八景島対岸(工事エリア対象外の場所)は復旧工事が入っていなかったので、2022年2月現在、八景島対岸エリアなら釣りOKです。
八景島対岸の岸壁では、2019年の台風で防波堤が壊されているところはなく、内側の石段?がずれて歩道にゴロゴロと転がっていました。
現在では、その大きな石は端に寄せられているので、問題なく釣りができます。
福浦岸壁は、従来から釣り人のマナーの悪さ(ゴミ問題)や路上駐車などで行政側にも睨まれている状態だったので、八景島対岸が釣り禁止にならないように、私も含め、釣り人ひとり一人が自覚して、数少ない釣り場をつぶさないようにしていきたいものです。
【朗報】令和5年度中に福浦岸壁が金沢海釣り施設として生まれ変わる!
2021年3月8日、横浜市会議員の、たけのうち猛さんのツイートでは、「金沢海釣り施設の令和4年度から整備着手を目指したい」と、より具体的な時期や規模などの情報が出ていました。
【海釣り施設を相次いで整備へ】
本日の予算特別委員会で、金沢海釣り施設整備の検討状況を確認し、局長より4年度からの整備着手を目指して課題の整理と予算確保に努める旨の答弁。また本牧海釣り施設の3年度中の完全復旧に加え、現在工事中の新本牧ふ頭への新たな海釣り施設設置が表明されました。 pic.twitter.com/S1MRHgh8Zw— たけのうち猛 (@Takenouchi_T) March 8, 2021
その後、予算化が成立し、いよいよ金沢海釣り施設(仮称)の整備事業化、令和5年度供用が決定!
令和元年9月の台風15号で横浜市金沢区福浦・幸浦地区の護岸が損壊。予算確保に取り組み、新規護岸が完成。
公明党横浜市議団の提案による護岸上部の海釣り施設・遊歩道化がこの度国庫補助事業の認定で、令和4年度の施工、5年度中の供用開始が決定!
太公望で賑わう横浜新名所へ。#金沢海釣り施設 pic.twitter.com/ZQcugCHIAd— 三浦のぶひろ (@miura_nobuhiro) February 18, 2022
災害復旧工事は間もなく完了し、続いて、金沢海釣り施設の工事が始まるんですね。
今までの福浦岸壁は、(釣り人の)路上駐車が多く、ゴミを放置して悲惨な状況でしたが、新しい海釣り施設ができたら、マナーを守って大切に利用していきたいですね。